事業資金は日本政策金融公庫で低金利で借りられるって本当?

新規ビジネスを立ち上げようと考えた方であれば、日本政策金融公庫の名前を一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。

政府系金融機関というのは知ってるけど、具体的にどんなところなのかはわからないという方も多いかと思います。そこで今回は日本政策金融公庫について解説していきたいと思います。

日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、2008年に4つの政府系金融機関が統合・発足した金融機関です。

株式の100%を国が保有しているので国の金融機関と言えます。

  • 民間の金融機関に比べて利子が低い
  • 担保不要で融資を受けられる
  • 創業まもない企業でも融資を受けられる

といった特徴があり、銀行などの金融機関から資金調達の借り入れが難しい中小企業や、起業する方への融資を行っています。

前身は中小企業金融公庫ですから、中小企業への融資や創業資金の融資が手厚いです。最近はIT関連の融資にも積極的です。

どのような融資制度があるのか

日本政策金融公庫の代表的な融資制度をご紹介します。

融資制度 貸付限度額 内容
普通貸付 ・4800万円
・特別設備資金は7200万
日本政策金融公庫のスタンダードな融資制度。ほとんどの事業者が利用可能
新規開業資金 ・最高7200万円
・運転資金は4800万円
新規事業の立ち上げまたは事業開始7年以内に利用可能な融資制度
女性、若者、シニア起業家支援資金 ・最高7200万円
・運転資金は4800万円
女性、30歳未満、55歳以上のシニア世代が利用可能
再挑戦支援資金 ・最高7200万
・運転資金は4800万円
廃業後に事業開始に再チャレンジするための融資制度
新事業活動促進資金 ・最高7200万
・運転資金は4800万円
経営拡大、事業転換、第二創業に利用可能な融資制度
中小企業経営力強化資金 ・最高7200万
・運転資金は4800万円
中小企業の経営拡大に利用可能な融資制度
IT活用促進資金 ・最高7200万
・運転資金は4800万円
情報化投資に利用可能な融資制度
地域活性化・雇用促進資金 ・最高7200万
・運転資金は4800万円
地域の事業活性化に利用可能な融資制度

起業資金は公的制度を利用しよう

新たに事業を立ち上げるには資金が必須です。事業によっては元手ほぼ0でも立ち上げることも可能ですが、大体の場合は数百万円~数千万円の資金を用意しなければいけません。

自分で資金を用意できれば良いですが、大抵の人はそれが無理ですから融資制度に頼ることになります。

しかし、銀行のような民間の金融機関は新規事業者に非常に冷たいです。経営の実態が把握できていないという理由もありますが、いきなり数百万円単位のお金を融資をしてくれることなんてほぼありません。

日本政策金融公庫には創業者支援という融資制度があり、起業に必要な資金を調達することができます。会社を設立し雇用が生まれることは国の経済発展に繋がります。

政府出資の日本政策金融公庫は、そうした人に融資とサポートを行うことが主な目的です。

日本政策金融公庫で融資を受けるメリット・デメリット

4つのメリット

日本政策金融公庫で融資を受けるメリットは4つあります。

1.他の金融機関よりも低金利

日本政策金融公庫を利用する一番のメリットとも言えるのが「他の金融機関よりも低金利」で融資を受けられる点です。

たとえば、日本政策金融公庫と消費者金融でそれぞれ100万円借りた場合の利息を比較してみましょう。

  • 日本政策金融公庫:年利2.0%
  • 消費者金融:年利18.0%

事業者によって若干の違いはあるものの、消費者金融で融資を受けようと思ったら利息はこんなにも違ってくるのです。

また、低金利と言われている銀行の融資でも金利は10%を超えることがほとんどです。特に300万円以下の小口融資では、利息の差は大きくなります。低金利で融資を受けるほうがリスクは少なくて済みますし、返済負担も最小限で済ませることができます。

低金利で融資を受けたいという人は日本政策金融公庫で融資を受けるようにしましょう。

2.民間の金融機関がダメでも審査に通る可能性がある

どんなに融資条件が良くても審査に通らなければ事業資金を借り入れることはできません。民間の金融機関にも好条件の融資はあるものの、審査に通りにくいのが大きなネックです

中小企業や個人事業主、起業したばかりの人は会社勤めの人に比べて収入が不安定と見られてしまうため、民間の金融機関で借りるのも一苦労と言えるでしょう。

実績があって経営状態が良好ならば話は別ですが、実績が少ない中小企業や個人事業主は民間の金融機関で資金調達するのは難しいです。

中小企業や個人事業主の資金調達の不安を解消してくれるのが日本政策金融公庫です。

日本政策金融公庫では次のような基本理念を掲げています。

基本理念(1)政策金融の的確な実施

国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する。

出典:基本理念及び経営方針/日本政策金融公庫

また中小企業や個人事業主の支援に関しても、次のような方針を掲げています。

経営方針(4)地域活性化への貢献

雇用の維持・創出など地域経済を支える中小企業・小規模事業者及び農林漁業者等の活力発揮に向けた支援を推進する。

地域の施策を踏まえ、プロジェクトへの 参画など、日本公庫の総合力を発揮し、地域の活性化に貢献する。地域に根ざした活動を展開し、地域社会への貢献に取組む。

出典:基本理念及び経営方針/日本政策金融公庫

たとえ、小規模事業者でも資金が不足していれば支援してくれるので日本政策金融公庫の役目です。

銀行などの民間の金融機関で融資を受けるのが難しいまたは融資を断られてしまったという人、会社の実績が乏しく資金調達先に頭を悩ましているという人は日本政策金融公庫での融資を検討してみましょう。

3.融資や会社についてアドバイスしてくれる

日本政策金融公庫の経営方針に次のようなものがあります。

経営方針 お客さまの立場に立って親身に応対し、身近で頼りになる存在を目指す。

商品力を高めるとともに、コンサルティング機能・能力の充実を図ることで サービスの質を向上し、資金と情報を活用することにより、政策金融を必要とするさまざまなお客さまのニーズに迅速かつ的確に対応する。

出典:基本理念及び経営方針/日本政策金融公庫

つまり、日本政策金融公庫は融資についてはもちろんのこと、会社についても親身になって相談に乗ってくれます。的確なアドバイスのもと、企業の発展を支えるのも日本政策金融公庫の役目です。

最寄りの日本政策金融公庫でも経営アドバイスを無料で行っています。中小企業診断士や税理士も在籍しているので、融資に関することだけでなく様々な疑問をぶつけてみてはどうでしょうか。相談料がかからない点も安心です。

返済の減額相談ができる

日本政策金融公庫では、返済が苦しくなった場合に減額申請を認めています。本来の返済期間を延長し、経営状態が良くなったタイミングで通常の返済に切り替えると言ったことが可能です。

4.民間の金融機関で融資を受けやすくなる

日本政策金融公庫で融資を受けることができれば、それが実績として認められるようになります。そのため、銀行を始めとする民間の金融機関で融資を受けられるチャンスが広がります。

民間の金融機関での融資審査が厳しいという場合は、まずは日本政策金融公庫で融資を受けて実績を積み上げていきましょう。そうすれば会社の信頼度は上がり、他行での融資をスムーズに受けられるでしょう。

2つのデメリット

日本政策金融公庫の融資にはデメリットもあります。

1.審査・融資に時間がかかる

日本政策金融公庫で融資を受けるには時間がかかります。

民間の金融機関、たとえば消費者金融なら数日程度、銀行なら1週間前後で融資実行されるのに対し、日本政策金融公庫では審査結果が出るだけで3週間以上かかることも珍しくありません。

日本政策金融公庫の融資に時間がかかるのは融資専門の金融機関であることが大きく関係しています。たとえば、銀行なら口座のお金の動きは担当者が簡単に把握できます。

しかし、日本政策金融公庫では預金預け入れ業務は行っていないので、お金の動きを知るにはメインバンクの通帳をチェックして残高や決済状況、終始、資金繰り具合などを見なければいけないのです。

しかも、複数の銀行口座を持っていればそれらすべてを確認しなければいけません。

日本政策金融公庫で融資を受けるなら時間に余裕を持って申し込みしましょう。

2.保証人が必要

日本政策金融公庫で融資を受けるには「保証人」が必要です。

民間の金融機関では、無担保・無保証で融資を受けられることもできますが、それには定期預金の○倍までなどの条件があります。日本政策金融公庫では、預金預け入れ業務を行っていないのでそのような手段がとれません。

日本政策金融公庫のすべての融資制度が保証人を必要としているわけではありません。たとえば、次の融資制度は保証人が用意できなくても利用可能です。

  • 女性の小口融資
  • 商工会議所等の推薦を受けた企業

どうしても保証人を用意できないという場合は、保証人不要で融資を受けられる制度が利用できないか確認してみましょう。

日本政策金融公庫の融資審査を可決させるコツ

日本政策金融公庫の融資審査に通過するにはコツがあります。ここでは融資審査に通すための3つのコツをご紹介します。

1.小口融資で審査を受ける

中小企業の経営者や個人事業主におすすめしたいのが「小口融資」を受けることです。

はじめての融資審査はかなり慎重に審査されます。自分が希望した金額で融資が下りないことも珍しくありません。たとえば、200万円の融資希望をだしたとしても実際には100万円までした融資が下りないということも十分ありえます。

融資の実績を積み上げるという意味でも、まずは確実に融資審査に通るために小口融資からはじめてみるといいでしょう。

そして、初回の借り入れをすべて返済できたら2回目、3回目と続けていき信頼をあげていくことで、希望した金額で融資が可決されやすくなります。

小口融資の目安は300万円以下とされていますが、一律で300万以下で申し込めばよいというわけではありません。資金の使いみちや事業規模のよって申込金額が妥当かどうかは違ってくるからです。

資金の使いみちについては、運転資金と設備資金の2種類あります。運転資金は事業規模に対して過大・過小が見られます。

仕入れ資金目的なら、毎月の仕入れ代金の数カ月分が妥当な金額と判断されます。ただ、妥当な金額は業種によって違ってきます。

毎日現金が即日で入るような業種と、仕入れ単価が高く長期間在庫を抱える業種では必要となる資金が全然違います。

日本政策金融公庫は融資専門の機関ですから、資金の使いみちとその金額の妥当性はしっかりチェックされます。なんとなくで申し込んでしまうと審査に通らない可能性が高いですから、注意してください。

2.企業の弱点とセールスポイントを説明できる

日本政策金融公庫に融資申し込みすると、審査担当者と面談を行います。融資決定までは、基本的にこの担当者が窓口となります。

面談では、取引先の名前、資金の使いみち、決算書についてなでかなり細かく問われます。審査担当者が納得できるような回答をしなければいけませんので、間違えたり言いよどんでしまうのはNGです。

ただ、場合によっては確認してから出ないと答えられないこともあるでしょうから、その場合は問題ありません。重要なのが企業の弱点とセールスポイントを審査担当者にきちんと説明できることです。

審査担当者は、決裁権限を持つ上司にプレゼンテーションをしてくれる立場です。

ですから、そのプレゼンテーションがうまくいくように、できる限りの情報を審査担当者に提供することが大切なのです。

中には隠しておきたい話もあるかもしれませんが、たとえ弱点があってもそれを上回るだけのセールスポイントがあれば、それを審査担当者に伝えるべきですし、きちんと伝われば審査担当者はなんとか融資してもらえるよう上司に取り合ってくれることでしょう。

3.保証人の返済能力の考え方

日本政策金融公庫は政府系金融機関つまり国が経営する金融機関です。そのため、政府の方針の変化で融資制度が新設されることもあれば廃止になる可能性があります。

ただ、融資を受けるには保証人が必要という姿勢は変わることはないでしょう。

この融資を受けるのに保証人が必要となる際、いくつかの選択肢に迫られることもあるでしょう。

例えば、

  • 不動産を所有している年金暮らしの父親
  • 賃貸暮らしだけど一流企業勤めの兄

このような場合、保証人はどちらが相応しいのか悩みどころです。

結論を言えば、希望する金額によって変わります。なぜなら金額によって保証人に求められる返済能力が違うからです。

たとえば、300万円の融資を毎月6万円の返済で50回払いするケースと、1000万円の融資を毎月20万円の50階払するケースでは、日本政策金融公庫が望む保証人の返済能力は違ってきます。

前者であればサラリーマンでも十分肩代わりできるかもしれませんが、後者の場合はお父さんのほうが適切かもしれません。

融資する側としては、万が一のときには土地を処分して一括返済できる可能性がある人のほうが安心して融資できると考えるでしょう。

日本政策金融公庫の申し込みに必要な書類

日本政策金融公庫に融資の申し込みをするにあたって必要となる書類は次の5つです。

1.借り入れ申込書

申込みに必要な用紙です。日本政策金融公庫の公式ホームページにて申込書をダウンロードできます。

最寄りの政策金融公庫の支店や、事業資金相談ダイヤルにて書類の作成方法について説明を行っているので、不明な点は相談してみるといいでしょう。

2.直近二期分の確定申告書

所得を証明する書類が必要です。事業内容に変更がない、前年と前々年の所得が大きく変動していない場合は前々年の確定申告書を用意しましょう。

事業内容に変更がある場合や所得が大きく変動している場合は、市役所にて課税所得証明書を取得するか、年収記載の住民税課税証明書を用意しましょう。

3.最新の試算表

決算後半年以上経過しているもしくは事業を始めたばかりで決算を負えていない場合は最新の試算表を用意しましょう。

4.法人の登記簿謄本

登記簿の写しのことです。

  • 会社名
  • 住所地
  • 資本金
  • 役員
  • 代表取締役

と言った会社の基本情報が記載されているものです。法務局にて申請すれば取得できます。

5.身分証明書

運転免許証またはパスポートが必要です。いずれも持っていない場合はコールセンターに問い合わせてください。

申込書に添付する書類

融資の申込書には次の書類を添付して提出します。

個人営業の方 直近二期分の申告決算書
法人営業の方 ・直近二期分の確定申告書、決算書(勘定科目明細書を含む)
・直近の試算表
設備資金の申込みの場合 見積書
はじめて利用する方 ・創業計画書
・企業概要書
・法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本
※創業計画書を提出した場合は、企業概要書の提出は不要

日本政策金融公庫Q&A

ここでは日本政策金融公庫の融資に関する疑問にお答えしています。

Q:起業前でも日本政策金融公庫で融資を受けられますか?

日本政策金融公庫は新規事業を開始する人に対しても融資を行っています。資金の使いみちは運転資金なら最高1500万円まで、設備資金なら最高3000万円まで融資可能です。

Q:60歳以上の高齢でも利用可能ですか?

可能です。日本政策金融公庫ではシニア世代にも積極的に事業融資を行っています。利用できる融資制度は「女性、若者、シニア起業家支援資金」です。融資可能額は最高7200万円、運転資金は4800万円までとなります。

Q:据置期間があるって本当ですか?

はい、あります。事業が軌道に乗るまでの間は返済が苦しいという場合は日本政策金融公庫に相談してみてください。

一定の据置期間が利用できます。たとえば、普通融資だと2年以内の据置期間があり、この間は利息分の返済だけで済みます。