奨学金制度がいまいちわからないあなたは要チェック!申請方法から注意点まで教えます

大学などへ進学するうえで知っておきたいのが「奨学金制度」です。

経済的な理由から学校に通うことが難しい学生に貸し付ける制度ですが、一口に奨学金と言っても様々な種類があります。

今回は奨学金制度の中でも、もっとも利用者が多いとされる「日本学生支援機構の奨学金制度」を中心に解説していきたいと思います。

奨学金制度とは

経済的な理由から大学などへ進学できない学生のために、学費や生活費を貸し付ける制度が奨学金です。

日本学生支援機構の奨学金制度がもっとも有名ですが、その他にも地方自治体や企業、大学でも奨学金制度を扱っています。

日本学生支援機構の奨学金制度 最も利用者が多い奨学金制度。無利子の「第一種奨学金」、有利子の「第二種奨学金」の2種類があります。2017年度からは経済的に困窮しておりなおかつ学業成績優秀を条件に給付型の奨学金もあります。
地方自治体の奨学金制度 本人または保護者がその地方自治体の住民であることが受給資格条件としている奨学金です。ほとんどは貸与型で他の奨学金と併用不可の場合が多いです。
各種団体・企業の奨学金制度 各種の団体や民間企業が設けている奨学金制度です。新聞配達員として働きながら奨学金を利用可能な制度もあります。
大学独自の奨学金制度 入学試験または在学中の成績優秀な学生に、授業料の一部または全額免除する制度が代表的です。

奨学金は「貸与型」「給付型」の2つ

奨学金は主に貸与型(借りる)と給付型(もらう)の2種類に大別されます。

貸与型には無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。

利子 貸与額(給付額) 返済 申し込み時期
第一種奨学金 無利子 月額2万~6万4000円 必要 【予約採用】

高校3年の5月中旬~7月中旬
【在学採用】
大学入学後の4月頃

第二種奨学金 0.01%~0.27% 月額2万~12万円 必要 【予約採用】

高校3年の5月中旬~7月中旬
高校3年の10月下旬~11月下旬

【在学採用】

大学入学後の4月頃

給付型奨学金 月学2万~4万円 不要 高校3年の5月中旬~7月中旬

いずれも学生本人が契約者となるので返済義務も当然負います。給付型は金額こそ少なめですが、返済は不要となります。第一種・第二種との併用も可能です。

奨学金のメリット

奨学金のメリットは次の2つです。

【他のローンよりも負担が少ない】

奨学金は利子がかかりますが、他のローンと比べて圧倒的に低いです。金利は最大でも年3%と決められているので、利息分が少なく大きな負担になりにくいです。

学費を借りる方法として国の教育ローンがありますが、借入額が同じで返済期間も同じにした場合、両者の利息の差は10万円近くにもなります。

同じ学費を借りるなら利子の少ない奨学金を利用したいところです。

【返済開始は卒業してから】

奨学金の返済が始まるのは、卒業してからです。教育ローンの場合は、一括で借り入れてその翌月から返済していかなければいけません。

在学中は何かとお金がかかりますので、生活を圧迫しかねません。しかし、奨学金なら在学中は返済不要ですから、余裕を持って返済していくことができます。

奨学金のデメリット

奨学金にはデメリットもあります。

【申込期間が限られている】

奨学金はいつでも申し込んでいつでも借りられる、というわけではありません。あらかじめ申込期間が定められており、その機会を逃してしまうと次の年まで待たなければいけません。

教育ローンはいつでも申し込めるのに対し、奨学金は申し込みできる期間が決まっているので間違えないように注意してください。

【返済期間が長い】

奨学金は長期間に渡り返済していくことになります。たとえば、毎月5万円借りていた場合、毎月1万5000円返済していっても完済するのに15年もかかってしまうのです。

長期間返済していかなければいけないため、返済でき無いという人が増加していることが問題となっています。

経済的な理由から利用する奨学金制度なのに、借りた後から家計を圧迫してしまわないように無理のない範囲で利用していくことが大切です。

【支払いに間に合わないものもある】

奨学金の貸与が開始になるのは4月~7月ごろです。そのため、入学金や前期授業料など入学前に支払わなければいけないものに間に合いません。

こういった場合は、教育ローンの利用を視野に入れておく必要があります。

奨学金を利用するための条件

奨学金は誰でも利用できるわけではありません。学力と収入それぞれに申込基準が定められています。

簡単に言うと、

  • 成績が良くない
  • 世帯収入が高すぎる

このような人は奨学金に申し込むことができません。

次でより詳しく解説していきます。

学力に関する申込基準

まずは学力に関する申込み基準について解説します。

日本学生支援機構の奨学金制度の場合、第一種と第二種で基準が異なります。

第一種 【予約採用】
次のいずれかを満たす・高校1年から申込時の成績が(5段階評価で)3.5以上  

・高卒認定試験の合格者、科目合格者、出願者のいずれか
・生活保護受給世帯でかつ通っている学校から推薦を受けた
・住民非課税世帯は成績基準は実質なし 

【在学採用・大学1年生】
・高校2年から3年の成績が3.5以上、専門学校は3.2以上
・住民税非課税世帯等の場合は成績基準は実質無し 

【在学採用・大学2年生以上】
・所属する学部(学科)の成績が上位3分の1以内
・住民税非課税世帯等の場合は成績基準は実質無し

第二種 次のいずれかに該当する

・高校での成績が平均以上
・特定分野に優れた能力がある
・学業を確実に修了できる見込みがある

給付型 次のいずれかに該当する

・住民税非課税世帯等で十分な成績を修めている
・生活保護受給世帯で、十分な成績を修めている

家計に関する申込基準

奨学金を利用するには、前年の世帯収入が定められる基準を下回っていないといけません。

対象となる世帯収入は下記のとおりです。

  • 給与所得者:源泉徴収票の支払い金額(額面)
  • 給与所得者以外(個人事業主、自営業者):収入から経費を差し引いた金額(所得金額)

共働きの場合は収入合算となります。

具体的に年収がいくら以下だと奨学金の申し込み基準を満たしているのでしょうか?

【予約採用の場合】

世帯人数 給与所得者 給与所得以外
第一種奨学金 3人 657万円 286万円
4人 747万円 349万円
5人 922万円 514万円
第二種奨学金 3人 1,009万円 601万円
4人 1,100万円 692万円
5人 1,300万円 892万円
 第一種・
第二種併用
3人 599万円 245万円
4人 686万円 306万円
5人 884万円 476万円

予約採用では世帯人数によって収入の基準が異なってきます。

たとえば、世帯人数3人、給与所得者が親の学生が第一種奨学金を希望する場合、前年度の世帯年収が657万円以下なら基準をクリアしていることになります。

【在学採用の場合・国公立】

世帯人数 自宅通学
自宅外通学
給与所得者 給与所得以外
第一種奨学金 3人 自宅 662万円 289万円
自宅外 729万円 336万円
4人 自宅 742万円 345万円
自宅外 800万円 392万円
5人 自宅 936万円 528万円
自宅外 1,030万円 622万円
第二種奨学金 3人 自宅 1,012万円 604万円
自宅外 1,059万円 651万円
4人 自宅 1,096万円 688万円
自宅外 1,143万円 735万円
5人 自宅 1,314万円 906万円
自宅外 1,408万円 1,000万円
第一種・第二種 併用 3人 自宅 603万円 248万円
自宅外 670万円 295万円
4人 自宅 680万円 302万円
自宅外 747万円 349万円
5人 自宅 898万円 490万円
自宅外 992万円 584万円

\【在学採用の場合・私立】

世帯人数 自宅通学
自宅外通学
給与所得者 給与所得者以外
第一種奨学金 3人 自宅 729万円 336万円
自宅外 791万円 383万円
4人 自宅 800万円 392万円
自宅外 847万円 439万円
5人 自宅 1,030万円 622万円
自宅外 1,124万円 716万円
第二種奨学金 3人 自宅 1,059万円 651万円
自宅外 1,106万円 698万円
4人 自宅 1,143万円 735万円
自宅外 1,190万円 782万円
5人 自宅 1,408万円 1,000万円
自宅外 1,502万円 1,094万円
第一種・第二種 併用 3人 自宅 670万円 295万円
自宅外 737万円 342万円
4人 自宅 747万円 349万円
自宅外 804万円 396万円
5人 自宅 992万円 584万円
自宅外 1,086万円 678万円

在学採用の場合、国公立か私立、世帯人数、自宅通学/自宅外通学かによっいぇ年収基準が異なります。

なお、ここで紹介した成績と世帯年収の基準をクリアできていても審査に通らないことがあります。特に第一種と併用の奨学金は審査が厳しいのである程度覚悟しておいたほうが良いでしょう。

知っておきたい奨学金5つの基礎知識

奨学金を利用するうえで知っておくと役立つ知識を5つご紹介します。

申込み方法は「予約採用」がおすすめ

日本学生支援機構の奨学金の申し込みは、

  • 予約採用
  • 在学採用

2種類の申込み方法があります。

予約採用は志望校が未定でも申し込みが可能ですので、できることなら早いうちから予約採用で奨学金に申し込んでおくことをおすすめします。

もしも、予約不採用でも在学採用で再チャレンジできます

入学初年度のみ利用可能な「入学時特別増額貸与奨学金」も併せて申し込もう

奨学金の貸与開始時期は4月~7月頃となるため、入学金や生活の準備費用に充てることができません。そういった場合におすすめなのが「入学特別増額貸与奨学」です。

入学特別増額貸与奨学は、入学初年度のみ上限50万円を借りることができる制度です。労働金庫と連動した「入学時必要資金融資」とあわせて利用すれば前もって資金の借り入れが可能になります。

第一種奨学金にこだわりすぎないこと

第一種奨学金は無利子で借りられるのは魅力的ではありますが、実際には多くの人が有利子の第二種奨学金を利用しているのが現状です。

第二種奨学金は利息がかかりますが、他の金融機関の教育ローンとは比べ物にならないくらい低金利で借りることができるうえに在学中は利息が発生しません。

利息を払うことに抵抗がある方は多いかも知れませんが、冷静に資金計画を立てるようにしましょう。

奨学金の支給開始時期は進学後の5月以降

意外と見落としがちなのが奨学金の貸与開始時期です。

予約採用・在学採用どちらも貸与されるのは入学後・進学後の4月~7月ごろです。入学金や前期分の授業料をまかなうことはできないということです。AOや推薦入試で合格すればその分早くお金が必要なります。

この分に関しては支払いができるなら構いませんが、そうでない場合は教育ローンの利用もあわせて検討していくことが大切です。

奨学金は保証人・連帯保証人が必要

日本学生支援機構の奨学金(貸与型)を利用するには、

  • 人的保証(連帯保証人・保証人両方)
  • 機関保証

いずれかの保証が必須となります。

しかも、人的保証の場合連帯保証人と保証人の両方を立てなければいけません。

【人的保証】

保証人の種類 対象者
連帯保証人 【契約者が未成年】
親権者または未成年後見人 

【契約者が成人】
父母(いない場合は4親等以内の親族)
ただし以下の方は連帯保証人になれない。
・未成年

・学生
・配偶者
・債務整理中の方
・貸与終了月の末日時点で60歳以上の方

保証人 次の条件を満たしている方

・4親等以内の親族
・契約者、連帯保証人と生計が別

ただし以下の方は連帯保証人になれない。 ・未成年

・学生
・奨学金申し込み時点で65歳以上
・配偶者
・債務整理中の方
・貸与終了月の末日時点で60歳以上の方

【機関保証】

連帯保証人と保証人を立てられない場合でも、機関保証を利用すれば問題ありません。

ただし機関保証では保証料を支払う必要があります。

奨学金の申込み方法

ここでは日本学生支援機構の奨学金の申込み方法について解説していきます。

奨学金申込みから貸与までの流れ

奨学金の申し込みから貸与開始までの流れを、予約採用と在学採用それぞれ見ていきましょう。

【予約採用】

① 予約採用の申請(インターネット上で手続き)
② 高校が申し込み者から推薦者を選考
③ 審査
④ 審査結果の通知
⑤ 採用候補者決定通知を外学に提出、進学届を提出
⑥ 返還誓約書の提出
⑦ 貸与開始

【在学採用】

① 日本学生支援機構の奨学金説明会に出席
② 必要書類を大学に提出、インターネットで手続き
③ 大学が申し込み者から推薦者を選考
④ 審査
⑤ 審査結果の通知
⑥ 奨学金採用時説明会に出席
⑦ 返還誓約書の提出
⑧ 貸与開始

申し込み時期と申込窓口

奨学金の申し込み時期と申込窓口は下記のとおりです。

予約採用
在学採用
申し込み時期 申込窓口 種類
予約採用
(1回目)
5月~6月頃 高校生:高校を通じて
大学生:日本学生支援機構
第一種、第二種、併用
予約採用
(2回目)
10月~11月頃 高校生:高校を通じて
大学生:日本学生支援機構
第二種
在学採用 4月頃 大学を通じて申し込む 第一種、第二種、併用

各校で申し込みの締切時期が異なるので、必ず学校へ確認しましょう。

在学採用の場合、4月に説明会が行われ、原則として年に1回だけの募集となりますので注意してください。

審査結果は?

審査結果の通知時期は次のとおりです。

予約採用
在学採用
審査結果の通知時期 種類
予約採用
(1回目)
10月下旬 第一種、第二種、併用
予約採用
(2回目)
2月下旬 第二種
在学採用 申し込み時期、大学によって異なる 第一種、第二種、併用

奨学金の利子

日本学生支援機構の奨学金は第二種のみ有利子です。

利子は「利率固定方式」と「利率見直し方式」の2種類あり、それぞれ利率が異なります。いずれも在学中は無利息です。

利子は2種類

それぞれの利子について見ていきましょう。

【利率固定方式】

当初設定された利率が完済まで適用される方式です。利率見直し方式よりも高めの利率ですが、完済するまで一切変わりません。

【利率見直し方式】

利率見直し方式は、5年毎に利率の見直しが行われます。そのため、途中で利率が変わる可能性があります。下がれば良いですが、上がるリスクもあるということは抑えておきましょう。

見直しと固定どっちが利子はお得なの?

基本的に利率見直し方式のほうが利子は低めです。

ただ、奨学金の返済は最長で20年にもなります。利率が上昇するリスクを避けるなら、完済まで利率変動がない利率固定方式を選ぶのが間違いないでしょう。

ただし、いずれも利率が3%より高くなることはありません。

在学中は利子発生なし

奨学金の利子が発生するのは卒業後です。在学中は一切利子がかかりません。

奨学金の返済方法

ここでは奨学金の返済方法について解説していきます。

返済の方式・開始時期・方法・返済日

返済方式・開始時期・方法・返済日について見ていきましょう。

【返済方式】

奨学金の返済方式は次の2種類から選択します。

  • 月賦返還
  • 月賦・半年賦併用返還

月賦返還は毎月一定額を決められた機関返済する方式です。

月賦・半年賦併用返還は、毎月一定額の返済とは別に1月・7月のタイミングで繰り上げ返済を行います。半年に一度ボーナス払いすると考えて良いでしょう。

【返済開始時期】

奨学金の返済開始時期は、貸与終了した月から起算して7ヶ月目です。

たとえば、3月卒業の場合、その年の10月から返済が始まります。ただし、第1回目の返済が開始となる6ヶ月の間は据置期間となっており、この間は利息が発生します。そしてこの利息は、返済開始後均等に分けて支払います。

【返済方法・返済日】

返済は口座振替のみです。

返済に使用する口座をリレー口座と言い、貸与終了の時点で銀行にてリレー口座の加入手続きを行います。

振替日は毎月27日、半年賦は1月27日と7月27日です。

奨学金は繰り上げ返済が可能

奨学金は繰り上げ返済が可能です。

繰り上げ返済することで支払い利子を減らすことができますので、お金に余裕があるときは積極的に繰り上げ返済しましょう。利用手数料は無料です。

奨学金Q&A

ここでは奨学金に関する疑問にお答えしていきます。

Q:奨学金の返済が困難なときはどうすればいいですか?

奨学金の返済が困難な人のための救済制度を利用しましょう。

  • 返還期限猶予
  • 減額返還
  • 所得連動返還

いずれも返済を一定期間待ってもらえる制度であり免除になるわけではありません。また、救済制度は自己申請となるので、返済が滞る前に早めに猶予申請の相談をしましょう。

Q:奨学金を止められてしまうことってあるんですか?

あります。

たとえば、次のような場合は奨学金の支給が停止となります。

  • 更新時に「継続願い」の提出を忘れた
  • 出席日数、取得単位が足りない

日本学生支援機構の奨学金は1年更新の契約です。鍼灸する際に継続願いを提出しないと翌年から支給がされなくなりますので注意してください。

Q:奨学金を返済しないとどうなりますか?

奨学金を延滞すると、下記の流れで対応が行われます。

① 本人・保証人への督促
② 債権回収会社に回収委託・個人信用情報機関へ登録
③ 差し押さえ

滞納3ヶ月までは本人や保証人に対し、はがきや電話で返済の督促を受けます。

滞納が3ヶ月以上になると個人信用情報機関に金融事故情報が登録されます。俗に言うブラックリスト入りです。

この状態になると当面の間はローンを組んだりクレジットカードを作ることができなくなります。債権は、債権回収会社に移管されますが督促は引き続き行われます。

債権回収会社からの督促も無視し続けると、日本学生支援機構から支払督促申し立て予告の通知が届きます。これは滞納を続けると裁判所に訴えるという意味です。

Q:国の教育ローンと併用できますか?

併用できます。

奨学金は貸与開始時期が4月以降となるため、教育ローンを併用することも検討するのが良いでしょう。

Q:予約採用で進学後の辞退・変更はできる?

可能です。