この記事を5秒でまとめると…
- 福祉資金貸付を利用すれば無利息〜年3%で借入ができる
- 利用できるのは低所得者、高齢者、障がい者のいずれかに該当する人
- 利用できないのは住居がない人、多重債務者、公的支援をすでに受けている人
インターネットでリサーチをしていると、福祉事務所でお金借りるという記事をよく目にします。福祉事務所からお金借りるっていうのは一体どういうことなのでしょうか?
実は、福祉事務所ではなく、社会福祉協議会が運営している生活福祉資金貸付制度を利用することで、貸付金を得ることができるという意味のようで、さまざまなサイトに、その情報が掲載されています。
ただ、こういった制度については、難しく書かれていて、正直内容がよく分からないですよね?
そこで、さまざまな情報を集約して、分かりやすく解説したいと思います。
生活福祉資金貸付制度の4つの種類
生活福祉資金貸付制度は、誰でも貸してもらえるというものではありません。
収入が少なく、生活費に困っているような低所得世帯や障害者が対象となっており、そのような方々を支援することが目的です。
そのため、民間の金融機関では考えられないほど低い利子である上、連帯保証人がいる場合には、無利息となるケースが大半です。
とても条件の良い借金なので、返済負担が軽いという特徴があります。
そんな生活福祉資金貸付制度には、大きく分けると4つの種類がありますので、それらを順に紹介します。
1.総合支援資金
総合支援資金には
- 「生活支援費」
- 「住宅入居費」
- 「一時生活再建費」
の3つの種類があります。
生活支援費
生活支援費とは、生活を立て直すために必要な資金を援助してもらうもので、生活に困った時に役立ちます。
住宅入居費
住宅入居費は、賃貸住宅を契約するための費用です。これは月々支払う家賃のことではなく、敷金や礼金など、最初に必要な費用を貸してくれる制度です。
一時生活再建費
一時生活再建費とは、生活を立て直す場合のさまざまなケースで利用することが可能で、たとえば職に就くための技能を習得するために必要な費用や、支払えていない公共料金の立て替え金、債務整理をするために必要な司法書士費用や弁護士費用などに利用できます。
2.福祉資金
福祉資金には
- 「福祉費」
- 「緊急小口資金」
の2つの制度があります。
福祉費
福祉費は、ケガや病気を療養するために必要な費用や生活費、介護サービスを受けるために必要な費用や生活費、被災時の費用などが借りれます。他にも福祉用具費用なども基準に含まれています。
緊急小口資金
緊急小口資金は、被災した時に必要な費用で、少額だけ借りれるという制度です。
被災すると、生活を立て直すまでの間に予期せぬ費用や、雑多な費用が積み重なることが考えられます。手持ち資金だけでは足りなくなるケースもありますので、このような制度を活用すると良いでしょう。
3.教育支援資金
教育支援資金にも2つの種類があります。
- 「教育支援費」
- 「就学支度費」
です。
教育支援費
「教育支援費」とは、低所得世帯の子どもが、高校や大学、短大や専門学校に通うための費用で、月々一定金額までの範囲でお金借りることが可能です。
就学支度費
就学支度費は、低所得世帯の子どもが、高校や大学、短大や専門学校に入学するための費用で、入学のタイミングでまとまった費用の借入が可能です。
子どもの将来の可能性を引き出してあげるためには、教育は重要です。たとえ、その費用が捻出できなくても、こういった制度があることを知っておきましょう。
4.不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金にも
- 「不動産担保型生活資金」
- 「要保護世帯向け不動産担保型生活資金」
の2つの種類があります。
不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金とは、低所得である高齢者世帯が利用できるもので、生活資金として活用するためのものです。
自宅を担保とする必要があり、土地の評価額が基準となる上、月々の借入金額には上限が設定されています。
要保護世帯向け不動産担保型生活資金
要保護世帯向け不動産担保型生活資金とは、生活保護を受給している高齢者世帯が利用できるもので、こちらも生活資金として活用するためのものです。
自宅を担保とした上で、生活保護の1.5倍以内の借入条件となっています。
どれくらいお金借りることができるの?
このように、生活福祉資金貸付制度貸付は大きく分けると4つの種類があり、それぞれを更に分類すると合計9つの制度が存在します。
では、これらの制度を利用すると、一体いくら借りることができるのでしょうか?借入可能額や、金利、返済期間を含め、その詳細を紹介します。
生活福祉資金貸付制度貸付一覧表
制度名 | 種類 | 借りれる額 | 年利 (保証人なし) |
年利 (保証人あり) |
返済期間 |
総合支援資金 | 生活支援費 | 1人世帯:月15万円以内 2人以上世帯:月20万円以内 |
1.5% | 無利子 | 10年 |
住宅入居費 | 40万円以内 | 1.5% | 無利子 | 10年 | |
一時生活再建費 | 60万円以内 | 1.5% | 無利子 | 10年 | |
福祉資金 | 福祉費 | 580万円以内 | 1.5% | 無利子 | 20年 |
緊急小口資金 | 10万円以内 | 無利子 | 12カ月 | ||
教育支援資金 | 教育支援費 | 高校:月3.5万円以内 高専:月6万円以内 短大:月6万円以内 大学:月6.5万円以内 |
無利子 | 20年 | |
就学支度費 | 50万円以内 | 無利子 | 20年 | ||
不動産担保型生活資金 | 不動産担保型生活資金 | 土地の評価額の70%程度 月30万円以内 |
年3%または長期プライムレート | 契約終了後3カ月以内 | |
要保護世帯向け不動産担保型生活資金 | 土地及び建物の評価額の70%程度(マンションは50%) 生活扶助額(生活保護)の1.5倍以内 |
年3%または長期プライムレート | 契約終了後3カ月以内 |
生活福祉資金貸付制度の申込方法
生活福祉資金貸付制度の申し込み方法は、社会福祉協議会に必要書類を提出することで対応してもらえます。
書類提出後に審査が行われ、無事に審査に通ったら振込となります。
必要書類は、健康保険証または住民票の写し、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳などのいずれかとなりますが、制度の種類や保証人の有無によってもことなりますので、まずは相談すると良いでしょう。
契約までの流れは「市役所福祉課でお金借りることが可能?役所からの借入法」で詳しく解説しています。
生活福祉資金貸付制度を利用できる人とできない人
生活福祉資金貸付制度は、低所得者世帯や高齢者世帯、障害者世帯という条件がありますので、それ以外の人は利用することができません。
ただし、これらの条件に当てはまっていたとしても、利用できる人とできない人がいらっしゃいます。
では、どのような人が利用できて、どのような人は利用できないのでしょうか?
利用できる人
生活福祉資金貸付制度を利用できるのは、低所得者世帯や高齢者世帯、障害者世帯という条件に当てはまっている上で、他から借入ができない世帯である必要があります。
また、高齢者とは、65歳以上という具体的な年齢も定められています。
利用できない人
生活福祉資金貸付制度を利用できないのは、
- 他で借入ができる人
- 生活保護や失業給付などを受給している人
- 多重債務者である人
- 住む場所が確保できていない人
などがあげられます。
ただし、生活保護に関しては、自治体によって判断が異なり、条件付きで貸付しているところもあるようです。
多重債務に関しては、これ以上借金が増えることによって、生活がさらに厳しくなる可能性があるため、審査通過が厳しいでしょう。
この場合は債務整理をした方が良いケースが多いようです。
まとめ
生活福祉資金貸付制度は、低利子である上、場合によっては無利子でお金借りることが可能な魅力的な制度です。
ただし、お金をもらうのではなく、あくまでもお金借りる制度なので、多重債務に陥っていたり、返済が不可能だとみなされている場合には利用することはできません。
また、他で借りれる場合にも利用はできませんので、条件に見合った場合にのみ貸付してもらうことが可能です。
他で借りれる場合には、カードローンの利用、多重債務の場合には債務整理を視野に入れながら、相談すると良いかと思います。